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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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うんめいとは

明日から荷物の運び入れを始めるという事が決まり、むつは喜んでいた。ただ、鍵の交換があるから住めるのは、明後日からになるとの事だった。


「社長、しろーちゃんに報告しといて」


「自分でしろよ」


「携帯もお財布もないんだけど?あ、銀行のカードとか免許証もだ…再発行になるのかなぁ」


「お前の鞄な、事件当夜のやつ。そのまんま事務所にあるぞ。そっか、渡してやすの忘れてたな…悪い。西原、事務所に寄ってくれ」


車内で、引っ越しの事や必要書類の話をしながら、むつはふむふむと頷いている。部屋が決まった事に安心したのか、むつは眠そうに欠伸をしている。完全に熱が下がったわけでもないのに、あちこち出歩いた疲れも出たのか、シートに背中を預けて、いつの間にかくぅくぅと寝息を立て始めていた。


むつが眠っているからか、西原も山上も会話をする事はなかったし、西原はあまり車が揺れないようにと、気を遣ってハンドルを握っていた。そして事務所の前に車を停めると、山上はむつを起こさないように鞄だけを取ってすぐに戻ってきた。ばたんっとドアの音がすると、むつは目を開けたが、安心しきっているのかすぐに目を閉じて眠りについてしまった。


「むつ、珍しいですよね。人前でこんなに寝てるなんて。人が一緒じゃ寝れないとか昔は言ってたんですけど…」


「そんだけ、体調が万全じゃないって事だろ。それに、今は人が居る方が安心なんだろうよ」


「かなり、重症ですね」


「そりゃあ、重症だろうよ」


西原と山上は、むつに何があったかを知っているだけに眠れる時に、寝かせてやろうと口を閉じた。だが、流石にホテルに着くとむつを起こし、ふぁふぁと欠伸を連発するむつを引っ張るようにして、部屋まで連れていった。



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