うんめいとは
「…そっか。そっか…何か嬉しいな」
「ほれ、むつ行くぞ。西原が本当に住んでるのも分かったから、ここは無しだろ?」
「ちょっ!!そんな言い方しなくても。むつがここ気に入ったんなら一緒に住めば良いんですから。ここで会えたのも運命だよ。むつ、観念しないか?」
「…しない。次、見てくるよ」
「待て待て待て、お前も冷たい。他にも見に行くのか?山上さん、俺もご一緒させてくださいよ」
「むつが良いって言うならいいけど」
山上と西原から見られ、むつは少し首を傾げたが休みで暇している西原に来るなと、言う理由も見当たらない。
「良いけど…早く着替えてきてよ?」
「すぐ支度する。中で待っててくれ」
「お邪魔します」
むつは山上と共に西原の部屋に入った。お世辞にも片付いてるとは言えない部屋に、むつは目を細めた。脱ぎっぱなしのシャツに靴下。流石にスーツだけはハンガーにかかっているが、コートは床に置きっぱなしだった。むつはコートを拾って、ハンガーにかけると脱ぎっぱなしのシャツなんかを拾って、洗濯物かごの中にまとめて突っ込んだ。そして、西原が着替えたりしている間に、むつは本棚を覗いたり、冷蔵庫を開けたりしていた。
「空っぽ。ビールしかない」
「仕方ないだろ?最近は帰ってきてなかったしな。なぁ、たまには作りに来てくれよ」
「時給が発生するぞ?」
「…金額しだいで」
「何で、あたしの仲介を始めてるの?」




