うんめいとは
翌朝、すっきりと目覚めたむつは、ソファーに座ったまま寝ている冬四郎と晃を揺り動かして起こそうとした。
「おはようございます、むぅちゃん。まだ少し寝かせてあげてください。お2人とも遅くまで起きてらしたので」
「あ、遥和さん。おはよう。うん?遅刻しないなら…てかね、もう熱も無さそうだよ?」
むつはそう言うと、京井の方に行き額を出した。触ってみてと言われている事を理解している京井は、自分の額とむつの額を触って比べた。
「きっと、むぅちゃんが思うほど、低くはないと思います。身体が慣れてきたんでしょうね、熱に対して」
「かなぁ?」
「今日は山上さんとお部屋を見に行くと聞いてますが…行けそうですか?」
「うん、大丈夫。今日で部屋決めて、早く引っ越ししたいもん」
「ここでの生活は嫌になりましたか?」
「嫌じゃないけどさ…やっぱ、ほら、帰る場所…欲しいかなって。ここなら、いつでも遥和さんが近くに居てくれるし、誰か来てくれるから寂しくないけど…」
「そうですね。帰る場所、大切ですからね。良いお部屋、ありそうでしたか?」
「うん。写真とか見た感じではね。ね、遥和さんって1人暮らしだよね?部屋の広さってどのくらい?」
「うちですか?うちは1LDKですよ。1人ですし、2部屋もあると、1つは仕事用とかにしてしまいそうで…帰ってまで、仕事はしたくありませんからね」
同感なのか、むつはうんうんと頷いた。にっこりと微笑んだ京井は、ポットからお湯を注いで、葛湯を作るとむつに渡した。
「お出掛けするなら、しっかりと身体は暖めないといけませんからね。朝食の支度出来るまでは、ゆっくりしててください」
「はーい」
むつはマグカップを持って、とことことソファーに行くと寝ている冬四郎の晃の間に座って、ふぅふぅしながら葛湯を飲んだ。




