49/1310
あこがれとそうぐう
「これで良いか?」
少し埃に手を汚した冬四郎が、むつを見るとむつはすでに、膝をついてクローゼットの中に頭を突っ込んでいた。
見ると、こさめもむつと同じような体勢で、クローゼットの中を覗きこんでいる。
意外な物を見た冬四郎は、何も言わずに腕を組み、一人と一匹を見ていた。
「あっ…あった、うわ…触りたくない」
ぶつぶつと文句を言いながら、親指と人差し指で汚い物かのようにつまみ上げた紙があった。
「それは?」
「今回の原因」
折れ、切れ、染みのついているが、冬四郎にも見た事のある物だった。
「カラーボックス戻してくれる?」
「あ、あぁ」
冬四郎が苦労しながら、カラーボックスを押し込んでる間にむつは部屋を出て行き、すぐに戻ってきた。




