表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
487/1310

うんめいとは

「むぅちゃん。今、相手が誰か確認せずに開けましたね?不用心ですよ?チェーンもかけるように言ったじゃないですか」


京井は呆れたように言いながら、部屋に入ると中に居る山上に会釈をした。遅い昼食と言って、京井はダイニングテーブルに野菜スープとサンドイッチ、甘い物が欲しいと言うむつの為にと、バナナジュースを置いた。


「山上さんもまだでしたら、召し上がってください。私は、ちょっと仕事があってゆっくりしてられないので…むぅちゃんをお願いします」


忙しいのか、京井はそれだけ言うとすぐに部屋から出ていった。むつは少し寂しそうに、ドアの方を見ていたが入ってきた時に言われた通りに、チェーンをがちゃっとかけた。山上は苦笑いを浮かべながら、むつを促してダイニングテーブルについた。


「…早く熱下げないとな。仕事にも復帰して貰わないと、湯野ちゃんは良いとして、祐斗がてんてこ舞いになってる」


「そんなに忙しいの?」


「いやー?あいつはパソコン苦手だし、ほら経費の方ゆるゆるだからな。財布の紐をしっかり、握るむつが居ないと…俺も困る。それにまだ事務所も片付いてないからな」


「あ…はい。しろーちゃんから聞いたけど、そんなにヤバイんだ?」


「かなりな。おんぼろ事務所から廃墟になりそう」


呟くように山上は言うと、京井の持ってきたサンドイッチを頬張って、うまっと言って笑顔を見せていた。むつは何か考えるように、分厚い卵焼きの入ってるサンドイッチをもそもそと噛んでいる。


「…どうした?」


「ん、ううん?…カラシマヨ、カラシがきいてるなーと思って」


むつがサンドイッチを差し出すと、山上はばくっとかぶりついた。もごとごと咀嚼して、鼻の頭にシワを寄せると、そうだなと呟いてバナナジュースをちゅうちゅうと飲んだ。


「社長ってさ…ご飯食べながらコーヒー牛乳飲めるタイプでしょ?」


「あぁ、大丈夫だな。みやも西原も飯食いながら、イチゴオレ飲むだろ?」


「そーなのっ!?」


「え?そこ、そんなに驚くか?」


分厚い卵焼きのサンドイッチを一口かじり、もそもそと噛みながら、むつはそうなんだぁとか、へぇと呟いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ