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あこがれとそうぐう
寝室に入ったむつは、何かを探すようにキョロキョロと見回している。そして、クローゼットの方に視線をとめた。
「開けて」
むつに指示され、冬四郎はクローゼットを開けた。中にはスーツとシャツがハンガーにかけて並べてある。
スーツとシャツをかきわけ、上半身をクローゼットに入れ何かを探している。
「ここなのに…」
舌打ちをしたむつは、こさめをベッドにおろした。そして、シャツの袖を捲った。
「中身出すから手伝って」
「え?何するつもりだよ」
説明もなくむつは、下に置いてある3段のカラーボックスを引っ張り出そうとしている。仕方なく冬四郎は、むつの腰に手を回して引っ張り、その場から退けた。
そして、クローゼットに上半身を入れるとカラーボックスの端を掴んで出した。重そうではあったが、むつは手を出さなかった。場所が狭いっていうのもあり、邪魔になりそうだったのだ。




