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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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なつやすみ

ぼろぼろと涙を流して、菜々は泣き始めた。


「むぅつぅっ」


菜々の声が聞こえたのか、むつの指がぴくっと動いた気がした。仰向けになっていたむつは、手をついてゆっくりと身体を起こした。転びそうになりながら、立ち上がると何も言わずに男たちを睨み付けていた。


すると急に、ごぉっと音を立てて強い風が吹いた。男たちでも踏ん張らないと、立っていられないような風だった。その風と共に、ごっと鈍い音がしたと思ったら菜々は引っ張られていた髪の毛が自由になった事に気付いた。


とんっと背中を押されるようにして、菜々はむつの所に行こうとしたが、ぐいっと腕を掴まれた。結局、逃げれなかったと思った菜々だったが、すぐ横にむつが来ていた。そして、むつは男の腕を掴むと袖をまくって、がぶっと噛みついた。痛みに男が腕を振り回すと、またしてもむつはぽーんっと飛ばされて地面に落ちた。


「っ、むつ‼菜々ちゃんっ‼」


「なんつー風だよ」


別の男の声が2つ。むつも菜々も聞き覚えのある声だった。止むことのない強風の中、むつは起き上がるとまたぱたぱたと菜々の所に駆け寄ってきた。大人の男でも立っているのがやっとの風の中、むつだけが平然としていた。


声の主が菜々の腕を掴んでいる男の顔を思い切り殴り付けると、ようやく菜々は自由になれた。駆け寄ってきていたむつが、無言のまま菜々を抱き止めた。そして、そのまま一緒に男たちから離れるように後退りして、こてんっと座り込んだ。

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