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なつやすみ
今夜はは父親も晃も帰りが遅いのか、むつはつまらなさそうだった。それに少しぼんやりとしていた。母親は心配そうにしていが、冬四郎はむつがまだ廃校の事を考えているんだなと思っていた。
「むつ、一緒に風呂入ろうか?」
「えー?うん?もぅ仕方ないなぁ」
何だか冬四郎がむつと風呂に入りたがっているような感じになったが、むつは少し嬉しそうだった。いそいそとタオルや下着を用意している。母親は、くすくすと笑っていた。
「なぁ、むつ…廃校がそんなに気になるか?」
父親が嫌がるのを分かっていて、むつと冬四郎は濁り湯になる入浴剤を入れて、じゃぶっと湯に入った。
「うん。だって、いち兄もしろ兄も行ってるんだよ?むつも行きたい‼」
冬四郎は、やっぱりと思った。余計な事を言うんじゃなかったと後悔していた。
「むつは女の子だからなぁ…」
「女の子だからダメなの?」
むっとしたようなむつの顔を見て、冬四郎はますます困っていた。こうなると、むつも頑固だった。




