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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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なつやすみ

横目でちらっと菜々を見つつ、鉛筆を動かして漢字を書いていたむつだったが、ころんっと鉛筆を置くと菜々同様に、寝転んだ。


「そうだよね。うちもなーちゃん所もお母さんもお父さんも仕事だし…どこにも行けないもんね」


「そうそう。みんな、どっか行くのに」


両親が共働きの2人は、夏休みだというのにどこにも連れて行って貰えず、毎日一緒に過ごすのにも飽きていた。


「何かないかなぁ…」


「楽しい事」


「楽しい事?」


低くのんびりとした声が聞こえ、むつと菜々は声のした方に視線を動かした。見上げていると、背の高い男がやってきて、寝転んでいる2人を見ると優しげな笑みを浮かべた。


「あーしろ兄。おかえり」


「ただいま。楽しい事か?むつと菜々ちゃんにとっては、何が楽しい事なんだ?」


帰ってきたむつの4番目の兄。冬四郎はキッチンに向かうと食器棚からコップを出して、冷蔵庫を開けた。からんからんっと涼しげな音が聞こえてきた。3人分のカルピスを作り、お盆に乗せて持ってきた冬四郎は、テーブルに置いた。


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