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なつやすみ
「うん…で、そのシスターがさ。きっと粛々とした生活が嫌になって、悪魔崇拝を始めたんじゃないかな?で、そこにはさ彼女の暗い気持ちに寄り添うように…学園だし霊は多いから。特に暗い気持ちを持った霊が集まった。で、それに気付いて、面白がって近寄ってきたのがその子供じゃないかと…」
「ふん、成る程ね。でも、何でその子はそれに気付いたのかしら?近くに居たのかな?」
「居たのかもしれないし。良いも悪いも呼び会う物だからね…引き寄せられたのかもしれない」
ふーんと返事をしながら、菜々はむつの方に灰皿を押しやった。吸う事なく、長くなった灰をむつは落として、笑みを見せた。
「それで?」
「それで、子供から何を言われたのかシスターの凶行が始まったんじゃないかな?」
「…分かんないのがさ、シスターは死ぬ必要あったの?ま、結局は生きてた?みたいな感じで出てきたけど」
ぐいぐいとビールを呑み干した菜々は、むつのジョッキをちらっと見た。まだ少し残っているにも関わらず、菜々はドリンクメニューをむつに見せた。無言で呑めと言われたむつは、メニューを見ながらジョッキを空けた。




