なやめるおとめ
「むつの実力を知るいい機会だな」
にやっと笑った山上が走り込んで来た。中年で酒ばかり呑んで運動をしているとは思えなかったが、意外と素早い。油断していたむつは、少し驚いたような顔をしたが、にっと笑った。
むつは水溜まりに足をばしゃっと入れると蹴りあげた。水が顔にかかった山上だったが、動揺した様子もなかった。
山上はむつのすぐ目の前まで来ると、遠慮もなく握った拳を顔にめがけて振り上げた。むつは、それを避けながら1歩前に出ると左手で山上の肘の辺りを掴んで引き寄せ、頭を後ろに下げてると勢いよく尽き出した。ごんっと音が、山上が顔を左右に振ったが、むつは何ともないのか、肘をぐっと強く引っ張りながら、くるっと背を見せた。むつは軽く膝を曲げて、山上を背に乗せると転がるような勢いで山上を投げた。
「くぅっ‼」
山上の上を転がったむつはすぐに立ち上がると、山上の両肩に膝を乗せて馬乗りになった。
「良い眺めだ。パンツ見えるぞ」
「ペチコート履いてるもん」
「本当か?」
むつはスカートを捲り上げて、あっと言った。いつもなら、履いてるはずのペチコートを今日は履いてなかった。ひらひらしない、スカートだから大丈夫だろうと履かなかったのを思い出した。
「白のTか?良いなぁ」
「白じゃない‼淡いブルーだし…パンツは見られたけど、そこそこの実力あるでしょ?あたし」
「まぁな…」
どんっと山上に突き飛ばされたむつは、ころんっと地面に転がった。
「けど、勝負はまだついてないからな」
両腕を万歳させられるようにして掴まれ、今度はむつが下になって山上がむつの上に乗った。
「後は檻に猛獣を突っ込むのみだな」




