なやめるおとめ
むつがダイエットを始めたのが切っ掛けとなり、変な具合に4対1の鬼ごっこ勝負へと話が変わっていった。
人気がなく暴れても大丈夫な、夜の公園に移動してきた面々は時計のある広場に集まっていた。勲衛門は夕雨の指示で早速、檻に化けている。
颯介と京井は明らかに見学気分で、缶ビールを片手に屋根のあるベンチに座っている。
「どんな手を使っても良いんだな?」
「むつ、どうだ?」
「勿論。ってか、そっちこそ本当にそれで良いわけ?手加減なんかしてやんないからね」
小雨が降っているにも関わらず、むつはコートを京井に預けているし、動きにくそうなデニムスカートのままだった。
主に山上にむつが睨み合っているのを、祐斗、冬四郎、西原が見ている感じだった。
「負ける気ないからね」
「お前、こっちは4人も居るんだぞ?」
「ふんっ‼本気でやるからね」
「……制限時間は2時間な。どんな手を使ってでもむつを檻に閉じ込めたら勝ち。良いな?」
「檻に閉じ込めるって猛獣かよ」
西原がくすっと笑うと、むつは舌打ちをした。
「じゃあ…始めっ‼」
夕雨の声と共にむつは、デニムスカートのポケットに手を突っ込んだ。




