なやめるおとめ
「今からむっちゃんと勝負したら良いんですよ。で、そっちの4人のうち誰か1人でも勝ったら…むっちゃん。隠してた事を話そうか」
「で、あたしが勝ったら?」
「そうだな…1人につき1つ命令できるってのはどう?」
颯介が人差し指を立てて、楽しそうに説明をしている。むつはそんな颯介の顔をじっと見ていた。ダイエットで身体も軽くなったし、夕雨の所での特訓の成果を試す機会だ。
「良いよ。そっちは?」
「受けてたつ‼」
山上が威張ったように言うと、祐斗、冬四郎、西原は明らかに嫌そうな顔をした。
「勝負の内容は?」
「そうだな…」
そこまでは考えてなかったのか、颯介が悩むように首を傾げていた。
「お、むつを捕まえたら良い。制限時間を儲けて…どっか広い場所ないか?」
夕雨が提案すると、むつは頷いた。それなら負ける事も、なさそうな気がしたのだ。
「むつを捕まえる?鬼ごっこですか?」
冬四郎は京井の後ろに隠れたままの、むつを見るように言った。乗り気ではなさそうだが、それなら良いかといった感じだった。
「簡単に言えばそうだな。そうだ、勲衛門が檻に化けるからそこにむつを放り込めたら勝ち。どんな手を使ってもいいで、どうだ?」
「乗った‼」
山上はそう言うと、さっさと立ち上がりどこなら暴れても大丈夫かなと考えている。




