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あこがれとそうぐう
寝室に敷けた布団は1組だけだった。
「仕方ない、今夜は僕と宮前君が布団でむつさんがベッドを使ってください」
「えーっ‼」
「宮前君は僕と寝るのがそんなに嫌か?宮前君がむつさんと寝るにしても、僕がむつさんと寝るにしても、おかしいよね?」
冬四郎はしぶしぶ了承した。むつは悪いと思いつつベッドに腰かけた。そして、こさめを抱き上げた。
「女同士一緒に寝ようか、ね」
布団の前には、むつが選んだ本物の曰く付きの物がずらっと並んでいる。篠田はうつ伏せにねころがり、それらを眺めている。
「違う気がするんだよな…ねぇ、こさめちゃんもそう思うでしょ?」
むつは相変わらず、こさめに話し掛けているが、こさめは返事などしない。
冬四郎は、この見事にバラバラに過ごす二人を見て溜め息をついた。
「電気消しますからね‼寝ますよ‼」
「あっ…」
「むつも篠田さんも寝てくださいよ」




