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なやめるおとめ
しっかり食べた事で、午後からの仕事はかなり順調に進んでいた。しばらくサボっていた経理の方もかなり片付いている。
「んーっ、目が疲れた」
「お疲れ様」
むつは目頭をぐりぐりとマッサージして、腰を捻ったり腕を伸ばしたりしていた。
「なぁ、むつ呑みに行かないか?」
「今日?」
「そう、湯野ちゃんも」
行きたいなと思ったむつだったが、昼食をしっかり食べているのに、これから酒を呑むのかと思うと、ダイエットにはならない気がした。
「今日は辞めとく。昨日遅かったから何かもう眠たいし、また誘って」
「ん?そうか…なら、湯野ちゃん‼」
「はいはい。お付き合いしますよ」
机の上を片付けて、戸締まりをすると3人は揃って外に出た。そして、ビルの前で別れてむつは歩き出した。
「あいつ、どこ行くんだ?」
「駅とは反対の方向に行っちゃいましたね」
「眠いとか言って…嘘つかれたな」
「みたいですね。よっぽど行くのが嫌だったんでしょうかね」
颯介と山上は、人混みに紛れていくむつの後ろ姿を見ていた。




