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あこがれとそうぐう
何故かごねる篠田を宥めた二人は、テーブルの片付けを始めた。ごねた篠田は、寝室に布団を運びこんでいる。
「篠田さんって子供みたい」
「酔ってるのか、あれが素なのか判断に迷う所だけど…まぁ仕方ないな」
散々ごねられ、冬四郎も巻き込まれ、篠田の部屋に布団と本物の気配のする物を運び入れ、三人で寝るという結果に落ち着いた。
「けど面白いね。何か本当にお泊まりって感じだよね…篠田さんはかっこいいだけじゃなくて可愛いもある」
むつがワイングラスを洗い流すと、冬四郎は拭いてから食器棚に戻していく。
「そうだな。それに、わりとキザだな…ケチャップ拭って舐めるなんて、なかなか出来ないぞ」
「あーね…ありゃモテるだろうねぇ。やっぱりあの女の霊は篠田さんを想うがあまりの、ってやつかなぁ…だから、あたしまで被害を受けたのかしら?」
「あぁ、モテるのも大変そうだな。けど、警官だし仕事絡みで恨みをかう可能性もあるな。逆恨みってやつな」
「んー可能性が広がるのは良い事?」
「色々な視点から物事を見るのは大事だ。見落としが減るからな」




