なやめるおとめ
「…なっ、直弥‼何で?お仕事は?」
「今日は非番。言わなかった?」
篠田がしれっと答えると、こさめはぶんぶんと顔を縦に振った。むつはアイスクリームを持ったまま立ち上がると、篠田に挨拶をした。
「けど、何でここに居るの?」
「むつさんから聞いてたから。昨日は無事に電車乗れたみたいで良かったよ。けど、改札通る前はちゃんと切符入れないと、閉まっちゃうから」
くすくすと篠田が笑うと、こさめは少しだけ顔を赤くしていた。その様子を見ながら、むつはそっと側を離れて冬四郎の隣に移動した。
「意外と早かったね」
「昼前にはって言ったろ?」
むつはスプーンでアイスクリームをすくうと、冬四郎の顔の前に持っていった。
「何味だ?」
「抹茶チョコチップ」
上のアイスクリームがなくなると、むつは冬四郎にコーンの部分を押し付けた。
「お前なぁ」
文句を良いながらコーンをかじる冬四郎を見て、むつはくすくす笑っている。
「むつ‼何で教えてくれなかったの‼」
篠田から話を聞いたのか、顔を赤くしたこさめが詰め寄ってきた。だが、怒ってはいないようだ。
「言ったら、サプライズ感ないでしょ?」
そう言うと、むつはこさめの耳元に唇を寄せた。
「初デートなんだから、さ」




