なやめるおとめ
翌朝、いつもよりゆっくり起きたむつは、こさめを起こさないように起き出してシャワーを浴びた。そして、バスタオルを巻いたまま、体重計に乗った。数字は昨日と変わりない。
「ちょっとずつ、だな」
むつは、溜め息をつくとTシャツを着てキッチンに行き朝食の支度を始めた。
こさめを起こして朝食を済ませ、一緒に片付けをしながら、こさめが今日は何するのかと聞いてきた。食器を洗い終えたむつは、手の水を拭うと出掛けるよと笑った。
こさめを買ったばかりの服に着替えさせ、髪にスプレーをかけ、コテでくるくると巻いていく。そして、化粧をしてやった。ちょっとお嬢様ちっくな出来上がりに、むつは満足そうに頷いた。
むつも着替えて化粧をして、髪の毛を毛先の方だけ巻いて、両耳の下あたりでしばり、ハンチングを被った。
「よし、そろそろ行こっか」
「むつ、むつ…その前に」
こさめに来い来いと手招きされて行くと、こさめはむつを引き寄せて一緒に携帯のカメラで撮した。
「待受画面にしよっと」
「今の待受何なの?」
むつがひょいっと覗き込むと、新聞を読んでる篠田の横顔だった。
「あーはいはい。ごちそーさま」




