なやめるおとめ
事務作業を終えたむつは、椅子の上でぐぐっと伸びをした。颯介と山上は昼休憩で外に出ている。むつも昼食にしようと席を立った。
来客用のテーブルで弁当を広げて、いつも通り1人を食事をしていると、ドアがノックされた。返事をしなくても勝手に開けて入ってきた。と、いう事はよく知ってるうちの誰かなのだろう。むつは知らん顔して、甘い卵焼きを口に入れた。
「何だ居たか」
やはり、最近よく顔を見せる宮前 冬四郎だった。むぐむぐと口を動かしながら、頷いた。
「昼時に悪いな。お前、明日休みだろ?」
「ふん、食べる?」
むつは鶏胸肉を薄く切った物にアスパラと人参を巻いて揚げた物をつまむと、冬四郎の顔の前に持っていった。冬四郎は遠慮なくそれを口に入れて、もぐもぐと咀嚼した。
「で?何?」
「いや、予定ないならちょっと付き合ってくれないかなと思ってな」
「そんな事言う為に来たの?」
むつは、卵焼きも冬四郎の顔の前に持っていった。冬四郎は首を傾げたが、大人しく口を開けた。
「甘い…」
「あたしは甘いのが好きなの。で?」
「ちょっと仕事のついでに寄ったんだよ。今日の夜から篠田さんとこさめさん来るんだよ。だから、こさめさんはむつん所に泊めてやってくれるか?で、明日は…Wデートしよう」
むつは箸を揃えて、弁当の上に置いた。
「はぁ?」




