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うたげ
「むつ、あたしもこっち?」
「あたしと遥和さんのサポートして欲しいの。こさめは、嗅覚もあるし動けるからね…あたし足こんなんだからさ」
屋根に昇ったむつ、京井、こさめは身を屈めてじっとしていた。夜になったとは言えど、いつになったら昨日のような害虫がやってくるのか分からない。
むつとこさめは寄り添って寒さに耐えていた。京井は寒くないのか、目を光らせれて様子を伺っている。
「ふっくしっ」
むつがくしゃみをすると、京井は上着を脱いでむつに渡した。むつはこさめと半分ずつ入るように、肩にかけた。
京井は屋根に来てから、一言も喋っていない。むつにはその様子が気になって仕方なかった。余程、怒りが収まらないのか、それとももっと別の事を考えているのか。




