うたげ
むつは京井からペットボトルの水を貰うと、それを持って寝室に入って行った。寝室は3つに分けられている。篠田とこさめ、むつと京井、と残りは大部屋だ。篠田とこさめの部屋とは襖1枚で隔ててあるだけだった。
真っ白な布団の上にぼすっと寝転がり、枕を抱き寄せた。そのまま顔を埋めていると、すぐに眠くなってきた。うとうとしていると、廊下に誰かが立っているような気がした。むつは、枕から顔を上げた。誰かは分からないが用があるなら、声をかけてくれたら良いのにと思った。そうは、思ってもむつから声をかけようとは思わなかった。不思議に思いながらも、あまり深く気にもせずに再び目を閉じた。
次に目を開けた時には、まだ誰かが居るような気がしてむつは、すぱーんっと勢いよく廊下に出る為の障子を開けた。
「しーっ…むぅちゃん静かに」
「遥和さん…さっきからずっと居た?」
「今、本館でお風呂使って戻ってきた所ですよ…まぁ少し入るのを躊躇いはしてましたけど」
浴衣姿の京井をむつな手招きして部屋に入れると、静かに障子を閉めた。
「何か…さっきも誰か居たんだよね」
「宮前さんか誰かが心配して来たんじゃないですか?」
「それなら、声かけてくれるでしょ?気のせいかな?」
「気のせいじゃないですか?もう遅いですし、早く休んだ方がいいですよ」
そう言うと、京井はむつの布団との間に屏風を置いた。むつは言われた通りに、布団に潜ると目を閉じた。




