うたげ
2人が部屋に戻ると、ぱたぱたとこさめが出迎えてくれた。だが、その顔は少しだけ赤くなっていて、しかも頬を膨らませていた。
「ど、どうしたの?」
「むつ、てぃーって何?」
むつと冬四郎は靴を脱いで、洗面所に行くと手を洗った。その間も、こさめはてぃーって何?と聞いてくるが、むつにも冬四郎にも分からない。
囲炉裏の前に座って、むつと冬四郎が冷えた身体を暖めていると、京井が酒を出してくれた。
「ねぇーっ‼山上が、むつ、てぃーって言ってたの‼祐斗が、むつ、3段の着けてるって言ってたの‼」
むつは山上と祐斗を見た。2人は気まずそうに視線を反らしたが、むつにはまだ何の事か分からなかった。すると、颯介が耳打ちしてくれた。むつはゆっくりと赤面していった。
「さいってー。こさめ、こさめには3段はまだ早い。てぃーは篠田さんが良いって言ったら…今度見に行こうか?」
むつが言うとこさめは篠田の所に行って、良いかどうかをしつこく聞いている。
「ちょ…み、宮前君‼」
「俺に振らないで下さいよ。それは、篠田さんとこさめさんの事じゃないですか」
「む、むつさん?」
むつは知らん顔して、タバコに火をつけると、ぷかーっと煙を吐き出した。
「篠田さんはどっちが好きですか?」
そう聞くと、篠田は少しずつ顔を赤くしていった。分かってないのは、こさめだけなようで首を傾げていた。




