うたげ
むつと冬四郎に続いて風呂に入ってきた、こはめは辺りをきょろきょろと見回している。
「どうしました?」
京井が酒を持ってやってくると、こさめと共に囲炉裏の前に座った。
「むつは?」
「縁側に宮前さんと居ましたよ」
「ふーん…なら、邪魔しちゃ悪いわね」
こさめは新聞紙を丸めて、囲炉裏の中に置き、その上に細い木を重て置いていく。そして、マッチを摩ると火をつけた。京井はその間に徳利に酒を入れて箱に入れると、火の上に吊るした。
「遥和さん」
「…むぅちゃんは足音も気配も立てずに近付いてきますよね。びっくりした」
「今夜、こっちに寝て。札、また埋めてくるけど…何も起こらないとも限らない」
そう言うと、むつはふらっと出ていった。上に羽織るものも持たずに出ていくと、後から冬四郎が上着とペンライトを持って追うように出ていった。
「しろーは保護者なの?」
「まぁそんな物でしょうかね。こさめさんの事を篠田さんが気にかけてるのと似てるんじゃないでしょうか?」
「むつは人間よ?」
「そうなんですけど。何て言ったら良いんでしょうか…まぁ心配で仕方ないんですよ」
「大切にされてるって事?」
「そういう事ですね」
「そういうのは難しいな」
こさめがそう言うと、京井はそのうち分かってきますよと言って笑った。




