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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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うたげ

「それにしても…本当に緑豊かな所だな」


「ね、これならいつの季節でも楽しめそう。川の音も聞こえてくるし…夏場とか避暑地として人気ありそう」


そんな話をしていると、むつがくしゃみをした。山の中は、街中よりも気温が低い。それを分かって、上着を着てきたがそれでもやはり寒くなってきた。


「戻ろうか。寒くなってきたし」


冬四郎がそう言うと、むつも頷き来た道を戻ろうとした時に足を滑らせた。顔から石畳の道に転ぶかと思ったが、冬四郎が腕を掴んでくれていた。


「ほら、滑るだろ?」


「うん…ありがと」


体勢を整えようとしたむつだったが、冬四郎は掴んでいた場所を腕から手に変えた。ぎゅっと握ってくる冬四郎の手は、とても暖かい。むつもそっと握り返した。


「手冷たいな。かなり冷えたんじゃないか?戻ったらすぐに風呂だな」


冬四郎がむつの手を握ったままポケットに入れた。むつは、頷いた。外が暗いから、どんな顔しているのかが分からないのが救いだった。お互いにとっての。


緩やかな坂を登りながら、離れに戻っていると、じゃんっと何かが聞こえた。むつと冬四郎は立ち止まると、注意深く辺りを見回した。だが、また聞こえてくる事はなかった。

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