うたげ
むつは上着を羽織って、念のためにと札とペンライトをポケットに忍ばせた。そして、靴をはくと外に出た。冬四郎はすでに、外で待っていてくれた。
「お待たせ」
「お前、スニーカーとかは?」
「持ってこなかったよ。これなら、走れるから大丈夫だし」
スカートをはいてるにも関わらず、足を大きく振り上げて履いているブーティを見せた。ヒールがあまり高くないから、大丈夫とむつは言いたいらしい。
「気を付けろよ。石畳の上は落ち葉で滑りやすいからな。それで、どこに行く?」
「んー目的はないよ。ただ、ちょっとぶらっと?周りに何があるかを一応見ておこうかと…地形とか?」
「地形って…仕事も兼ねての散策だな」
くすくすと冬四郎に笑われたむつは、他に何て言えば良いのかが、思い付かなく少し恥ずかしい思いをしたが、からかわれてるわけではない事は分かっていた。
「もう…それにしても、しろーちゃんもよく休めたよね。やっぱ、いちにぃのお声のお陰?」
「まぁ、な…京井さんが何て言ったか知らないけどな。これじゃ公私混同な気もするよ」
「そうだね。けど、しろーちゃんも一緒に来れて良かった」
「うん、害虫駆除の手伝い付きだけどな」
むつが鼻の頭にシワを寄せるようにして、嫌そうな顔をすると冬四郎はまたくすっと笑った。




