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あこがれとそうぐう
篠田に教えられた部屋のドアをそっと開け、隙間から覗き込んだむつは、すぐに顔を離した。
「やばい…」
「そんなに、か?」
むつは頷いてドアから離れ、冬四郎に隙間から覗かせた。冬四郎もすぐに顔を離すと頷いた。
「違う意味でやばいな」
二人はドアを開けて、室内に入った。そして壁際にある蛍光灯のスイッチを入れた。
見渡す限り、大小様々な箱が積み上げられている。二人の言っていた、やばいは量が多すぎての、やばいだった。
「夕方までに終わるかしら?」
「これ開けないともしかして分からない系だったりするのか?」
「分かるけど…多すぎるから正確さには欠けるよね」
むつは箱をじっと見た。そして、指差した。
「あれ…左から2番目の上から3番目の箱下ろして」
冬四郎は言われた通りに、積み上げられた箱を下ろして取り出して、また積み上げた。




