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あこがれとそうぐう
翌朝、目覚まし時計が鳴らずとも目が覚めた篠田は、大きく伸びをした。しばらくぶりに、ぐっすりと眠れたせいなのか、目覚めが凄く良かった。あんなに呑んだにも関わらず、酒が残ってる感じもない。
部屋を見ても、むつはもう居ない。掛け布団だけが部屋のすみに畳んで置いてあった。
そして、少しだけ開けてあるドアの隙間からは良い香りが漂ってくる。
篠田はベッドを抜け出して、キッチンを覗いた。すでに起きているむつが、朝食の支度をしていた。
「何か夢みたいです」
「あ、おはようございます。よく眠れたみたいですね…何が夢みたいなんですか?」
顔色のよくなった篠田を見て、むつは微笑んだ。
「おはようございます。朝食の準備までして頂けるなんて…思いもしませんでしたよ」
「だってお仕事でしょう?人間は食べて動くように出来てるんですよ…と、あの、すみません勝手にシャワー借りちゃいました」
「そんなの気にしないでください。わたしもシャワー浴びてきます」
機嫌の良さそうな篠田は、軽い足取りで風呂場に向かっていった。




