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ゆめのうち
カップラーメンと湯飲みを持って、むつは奥の来客用のソファーに向かっていく。
「いつも、そこでご飯なの?」
「そうそう。キッチンに椅子あるけど、それじゃなんかねぇ…それに机でだと休憩してる気分になれないから」
そう言い、テーブルにカップラーメンとお茶を置くとむつは、倉庫兼ロッカールームに入って行くと、巾着の手提げを持って来た。
それを開けると中から、白い大判のハンカチに包んである弁当箱を出した。しゅっとハンカチを広げて、弁当箱を出すと颯介の方に押しやった。
「どーぞ。口に合うか分かんないけど」
「ありがとう」
飾り気のないオレンジ色の2段の弁当箱だった。颯介は蓋を開けようとして、手を伸ばしたがなかなか開ける勇気はなかった。
襟元から顔を出した管狐が、気にするように弁当箱と颯介の顔を交互に見ている。なかなか開けない颯介を見て、むつは首を傾げた。
「どうしたの?」
「あ、いや…」




