あこがれとそうぐう
部屋に戻ると早速、二人がビールを開け始めたのを見て、むつも早々に夕飯の支度を始めた。
先ずはサラダをそして、出来た物から順々にテーブルに並べていく。
「ちょっと、篠田さん‼ご飯が先よ。しろーちゃんも‼あんまり呑ませちゃダメ、いい?分かった?」
むつに小言を言われながらも、二人は楽しそうにビールを空けていく。
食事を終え、むつが片付けを始める頃には篠田も酔っているのか機嫌良さそうだった。
洗い物をしていると、食器を持ってきた冬四郎が隣に立った。
「篠田さんがあんなすぐ酔うなんて珍しい。やっぱり、体調もよくないみたいだな」
「そんなに篠田さんお酒強いの?」
「あの人、かなりの酒豪だぞ。本当、水みたいに酒呑むし普段、あんな姿なんか見せた事ないからな」
「しろーちゃんが呼ばれたのはそれなんじゃない?」
泡のついた食器を水で流しながら、むつがくすくすと笑っている。
「不安な時に、気の許せる友達と呑んで気晴らししたかったんじゃないかな。ほら、しろーちゃん今は丁度あれだし」
冬四郎は鼻で笑うと篠田の所に戻っていった。二人は、ビールを終わりにして、焼酎を呑み始めているようだった。




