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あこがれとそうぐう
「それがさっぱり…わたしに、話し掛けてるのかさえ、定かではないんです。ですが、話してるんですよね」
「それで、こさめちゃんを少し避け気味ってわけですね?」
「えぇ…まぁそうなんです」
篠田が少し悲し気な顔をして、目を伏せた。
「どっちも、まぁ何とかしますよ。さ、今夜はちゃんと食べて寝てくださいね。少し痩せましたか?」
「え?えぇ…そうですね。霊やらこさめの事やらで、食欲もなかったものですから」
「そんなんで食欲無くしてみたいもんです」
むつが歯を見せて笑うと篠田も笑った。
三人は何が食べたいなどと、話をしながら買い物を済ませると早々に帰った。
冬四郎がビールや焼酎を別で買い込んでるのを見ていたむつは、呆れたような顔をしていた。




