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よっつのこわい
「君、うちの子になるかい?」
雷獣を持ち上げて、鼻をくっつけながら聞いてみたが、雷獣は首を傾げながら尻尾を振るだけだった。
「嫌だって」
「え、そうなのか?会話出来るのか?」
「まさかまさか。空を見上げてるから、帰りたいって事なんだろーなーと思ってさ」
冬四郎は少し驚いた自分があほらしく思え、何も言わずに頷くだけだった。
「なら、雷雲を呼んで貰わないとね。出来るね?」
むつがぱっと手を放すと、雷獣は走って倉から出ていった。雨は止んで、雷も遠くで光っているだけだ。
冬四郎は仕方なく、その辺にあった何か分からないが大きく薄い布を手に取って雷獣の後から外に出た。
雷獣はぶるぶるっと身体を震わせると、ぱちぱちと小さな稲妻を発生させ始めた。小さかったそれは、だんだんと大きくなってきている。だが、冬四郎の目から見てもとても、空に届きそうには見えない。




