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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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よっつのこわい

「ん?何だやっぱり前に言ってたのは建前か?」


「前…?あ、う…うん?まぁそれもある。だから、今日車出してって頼んだんだよ?」


前に少し話した事をすっかり忘れていたのか、むつは適当な感じに流して他に冬四郎が興味の引きそうな事を言った。


冬四郎は、何でかを聞いて欲しいんだな、と思ったがすぐに聞いてやる気にはなれなかった。


「ふーん?それよりお前、髪の毛ふけよ‼冷たいだろうが」


むつを座らせ、背中を向けさせた。冬四郎は自分が持っていたタオルでむつの髪の毛をわしわしとふきだした。


「ちょっ‼雑‼丁寧にして‼絡まる」


「文句言うなよ。で?何でわざわざ急に帰省する気になったんだ?」


「理由1、心配してるから。しろーちゃんも帰ってこないって…うわっ光った」


むつが理由を言い始めると、外が急に明るくなった。障子を閉めていても分かる程の光だった。


「雷もか…まだ遠いけど、かなり光ったな。そんなに雨は強くなさそうだけど」


「やだなぁ」


「そのうち、どっか行くだろ。…心配してるって母さんがか?」


雷の光に手を止めていた冬四郎だったが、すぐにむつの髪をふき始めた。注意をされたから、仕方なく水分を吸わせるように、上からタオルに髪を挟んでいく。


「お母さんとお父さんが。この前、うちには来たんだけどね、その時に言ってた。冬四郎さんは合鍵くれないから、お家に行けないのって」


母親の言い方を真似てるのか、妙におっとりとした言い方をして、ふぅっと溜め息までついてみせた。


「お前んとこに?来るのか?2人が?」


「来る。2、3ヵ月に1回くらい」


「はぁーかなり心配されてんな。で、大人しくお前は合鍵も渡してあるのか?」




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