よっつのこわい
冬四郎の質問を聞き、むつは首を傾げながら冬四郎の顔をじっと見た。
「しろーちゃんこそ、好きな人とかは?そろそろ結婚とか…さ」
「結婚かぁ。したいと思える人が居たら良いけど…そんな出会いもないからな」
質問に対して質問で返され、あからさまにはぐらかされた事に冬四郎は、ふんっと鼻で笑った。
「お前、好きな人居るんだな」
むつは何も言わず黙っている。少しだけ眉間にシワを寄せているのを見ると、どうやらそうらしい。
「西原君と寄り戻したのか?たまに呑みに行ってるんだろ?」
「社長情報?先輩は好きだよ、ふつーに。良い人だし、色々話してて楽しいからね」
「西原君なら反対はしないぞ」
「誰なら反対なのさ?」
「篠田さんとか谷代君とか湯野さんだな」
「まぁわりと皆ね。遥和さんは?」
「人じゃないだろ?…っと、何だ?渋滞か?」
冬四郎はゆっくりブレーキを踏んだ。
「事故かな?」
「かもしれないな。けど、対向車も来ないってなるとかなりの規模の事故だろ。救急車も何も通らなかったぞ?立て看板も無かったし」
冬四郎とむつは、フロントガラスから何か見えないかと身を乗り出してみたが、特に何か分かる事はなかった。
むつは窓を全開にし、顔を出した。
「何か煙り臭い気がする…火事じゃない?」
「事故って火災か?」
「さぁ?とりあえず、お母さんにメールしよーっと。いつ動くか分からないし」




