ちぇんじんぐ
祐斗は、冬四郎と西原をおいてすたすたと歩いていく。露店の前で、しゃがみこんむと店を出している男の顔が見えないかと、のぞにこんだ。
「そんなに顔が見たいかね?」
「そりゃまぁ気になりますからね。人間じゃないなら尚更に」
「昨日のお嬢ちゃんか…悪用はしなかったみたいだ。けど、お困りのようで。さっきも店を探して、うろうろしてて」
くっくっくっと男は、面白い物を見せて貰ったかのように笑った。
「そちら側からは見えてたんですか?」
くすっと笑った男は、祐斗を見た。ようやく顔が見れた、とむつは思ったがその顔は何の特徴もない普通の人間の顔だった。
「指輪外してあげようかね?」
「是非とも」
お願いします、と頭を下げたが男はあっさりと首を横に振った。
「ただでは無理」
「金を取るって事ですか?」
「いやぁ…勝負をして勝てたら指輪を外してあげよう。負けたら、そのまま。どうかね?」
祐斗は下唇を撫でながら、少し悩んでいるようだった。
「絶対に壊さず外せますか?」
「そんな指輪なのに壊したくないと?」
「壊さず外せますか?」
祐斗は男の質問には答えず、同じ質問を重ねた。
「勿論」
「なら…受けてたつ」




