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あこがれとそうぐう
部屋はさっぱりとしたシンプルさがあるのに、置いてある小物や本は篠田らしい気がした。よく分からない古びた壺や人形、本も超状現象系やUFO、心霊と篠田の好みがよく分かる気がした。
「むつさん」
「あ、ごめんなさい。篠田さんは、本当にこーゆー物がお好きなんですね」
本棚をのぞかれて恥ずかしくなったのか、篠田は照れ笑いを浮かべていた。
テーブルにコーヒーのはいったカップを並べ、篠田はソファーに座った。むつも本を戻すと、冬四郎の隣に並んで座った。
しばらくは、何となく気まずい沈黙があった。
「それで、あの…どうですか?」
篠田が何を聞きたいのか、分かったむつはぐるっと部屋を見回した。
「重たい雰囲気はしますね。けど、何がって言われると答えかねますので…先ずは色々とお聞かせ頂ければと思います」
むつが姿勢を正し、丁寧に柔らかい、それでも自信のあるような口調に篠田は安心したような表情を見せた。




