147/1310
ちぇんじんぐ
山上は、ぐっと拳を握るとそれを冬四郎の頭に降り下ろした。
「いっ‼たぁ…何するんですか‼」
「お前はあほか‼本気でやるか普通?」
山上は祐斗を支えるようにして、道場から出た。それを見たむつは、慌てて後を追った。冬四郎と西原もあとからついてきた。
奥廊下のソファーに座わらされた祐斗は、めそめそと泣いていた。隣に座ったむつが、おろおろと祐斗を慰めている。
「お前、あの動き方みて分かる事あったんじゃないのか?」
珍しくも怒っているのか、山上の口調はキツく責めているようだった。
「動きがむつそっくりでしたね」
何も言わない冬四郎にかわって、西原が少し感心したように言った。それを聞いて、冬四郎もうんうんと頷いた。
「頷いてる場合か‼お前、むつ相手に本気になってどうするんだ‼」
もう1度、山上の握った拳が冬四郎の頭に振り落とされた。
「は?本気になったのは悪かったと思いますけど…どう見たって谷代君ですよ?むつは、こっちに居るし」
西原が、うんうんと頷いた。
「あの、入れ替わってるんです中身が」
今まで黙っていたむつが、申し訳なさそうにそう言った。
「は?」




