ちぇんじんぐ
祐斗は朝からむつが電話で、何をわけの分からない事をと思いつつも起き上がった。そして、今日はボクサータイプだったかな、と寝巻きのズボンを引っ張ってみようとしたがなかった。
「ん?あれ?」
ズボンははいておらず、白い足が見えている。そして、うつ向いた時に髪の毛がぱさっと顔にかかった。
「えっ?えっ?」
頭に手をやると、するっとした艶のある髪に触れた。髪を触りながら手を下ろしていくも、なかなか毛先にはたどり着かない。
『ねぇ目が覚めた?』
電話ごしのむつの声は、こんな声だったか?と祐斗は思いつつも自身に起きてる変化に驚いていた。
「何か髪の毛伸びてて…髭もない」
祐斗は顎の下を撫でてみた。
『いや、あんた…髭薄いでしょ?ちょっと指先に触れるかな程度しかないし』
「何でむつさんがそんな事知ってるんすか?」
『聞きたい?』
祐斗は聞きたくないと思いながら、立ち上がりカーテンを開けた。窓ガラスに映る、見慣れた人、ちょっぴり好意を寄せている人、むつの顔があった。
「聞きたくないです…けど、俺…むつさんの顔を見ながらむつさんと電話してるんすか?」
『そう。あたしは祐斗の顔見ながら祐斗と電話してる』
「何がどーなってるんすか?」
『とりあえず今から行くから、そっちに。オートロック開けれるけど…玄関開けれないから起きといてよ‼すぐ行くから‼何もしないで、何も見るな‼分かったか!?』
「あ、はい…」
祐斗が返事をするとむつは電話を切った。祐斗は携帯画面には、通話相手の名前が谷代祐斗と表示されているのを見た。
「俺は俺と電話をした、のか?」




