みなうちに
「…鰯の頭ってさ、玄関に置くんだよね?でも廊下には置けないから、中でもいいよね?」
「いいと思いますよ」
むつはすぐに柊とタッパーを片手に、事務所のドアの前に行くとどこに置こうかと考えている。むつはキッチンに行くと、あっちもこっちも戸棚を開けて、一輪挿しの花瓶を見付けると、そこに柊をいれて、鰯の頭を刺した。
「…むぅちゃん、何を考えてるんですか?」
「ん、うん…小鬼が来て嫌だから、皆からの八つ当たりを受けてたのかって思うと、気付いてあげれなくて悪かったなって…でも、鬼って悪いばっかりなの?」
「そんな事はありませんよ。悪いイメージしかないと思いますが、昔は人の中に紛れているのも居ましたよ」
「そうなの?地獄に居るイメージが…」
「確かに地獄の使いかもしれませんが…地獄の鬼だとて役割がありますからね。見た目が怖ければ、だいたいの人は大人しく言う事も聞きますよね?それで見た目が悪いんですよ。地獄にも層があってですね」
「そう?」
「えぇ、罪を償い魂を浄化させて、たま来世に…罪にも色々ありますからね。犯した事に対して、6段階に分けられるんです。その場所で鬼は監視役をしていますから」
「成る程…だから、怖いイメージなのね。でも小鬼は怖くなかったよ?」
「小鬼は…何より小さいですからね。小鬼は今の時期、邪気を伴ってやってくるんですよ。それがいい物ではないから、祓うのが儀式としてあるんです」
「そっか。ね、人の中にも居たっていうのは?妖みたいに紛れてたの?地獄から来た鬼が?」
「まさか、まさか…むぅちゃん人は鬼にも仏にもなれるんですよ。心の持ちようで。負の感情を抱き続けた方が、鬼と化す…そんな事もあるんですよ」
「そう…あたしは地獄でも罪の償いはかなりキツい物になりそうね。妖たちを…」
「かもしれませんね。ですが、それで救われた方がどほれど居る事か…それに今から、そんな事を考えてても仕方ありませんよ。死ぬには早すぎますから」
「…うん」
むつは頷くと、鰯を触って生臭くなった手を洗いにキッチンに入っていった。




