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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みなうちに

「えーっとねぇ…」


破り取ったメモ用紙が並んでいるのを、むつと西原は顔をよせるようにして見ていた。平仮名ばかりだが、丁寧に書いてくれたようで読みやすい。


「こおにがいたずらにきた…」


むつが呟くように言うと、冬四郎と山上もむつを見た。書いてある文字を2人も見てはいるが、どういう事なのかはさっぱり分からないようだ。


「こおに…小鬼の事なのかな?」


ボールペンを借りたむつは、空いている箇所に漢字を書いた。すると、人形はこくこくと頷いた。


「どういう事だ?小鬼が?」


「さぁ…?でもさっきも見たわね」


「昼間も居たもんな…あいつら、悪戯して回ってるって事か?だとしても、何でうちに2回も…裏で糸引いてるやつでも居るのか?」


「妖を都合よく使う、か…まぁ出来ない事はないと思うわよ。あたしも人の事は言えないけど…そういう事してるの見た事あるし」


「…お前も?」


「うん、だってこの前なら火車とかさ…」


京井と酒井の名前は出さずに、妖らしい妖の名前だけにしておいた。西原も京井が人ではないとは知っているが、むつが話したわけでも本人が話したわけでもないからか、京井の名前は出しにくい。だが、むつにとっては妖の中で1番の協力者だった。


「お前の場合は持ちつ持たれつだ。それより、そういうのを見た事があるって言ってたな…」


「…鈴を持ってる人。あの人は都合よくじゃないかもしれないけど…あの人が所属する所は利用するだけしてって感じだから」


「…そうだな」


むつの言う、あの人が誰なのかはここに居る3人は分かっている。悪い人ではないのだろが、やはりいい人だとも思えない。だが、むつはその人だけは違うと言っている。特別なのだという事が、よく分かる。


「しっかしな、あいつらが嫌がらせするにしては、やり方が…せこいっていうか…腹立たしいだけだぞ、これは」


「腹立つのが嫌がらせなんじゃないですか?」


「お、それもそうか」


不快にならない嫌がらせなど無いでしょと冬四郎が苦笑いを浮かべると、山上は納得したように頷いていた。


「あの組織が小鬼を使って嫌がらせ?回りくどいわね…だって、向こうには化け狐の一族が居るのよ?それを使った方が早くない?小鬼を捕まえてきて言う事聞かせるなんて…」


「暇なやつらだな‼」


「本当それよ…」



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