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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みなうちに

「山上さんでもいいんじゃねぇのか?」


そんな事を言いながら、西原はぱたぱたと手を動かした。むつが何を取ろうとしていたのかは分からないが、かさっとした物が指先に触れた。もう少しで取れる、そう思い腕を更に奥へと入れようとしたが、指先に触れた物は意外にもすぐ近くにあったのか簡単に取り出せた。


「…取れた。何だ、これ」


引っ張り出した物を見て、あれと首を傾げた。本当にこれなのかと西原が見せると、むつはこくこくと頷いて両手を差し出した。西原が乗せてやると、むつはふふっと笑った。


「うちの子って…ここにも人形置いてあったのか?紙だもんな、下に落ちたのか」


「ううん、この子は先輩に渡した子」


「…分かるのか?見た目も形も同じで」


「分かる‼分かる‼だって…元々はあたしの側に居てくれた子だもん。ね」


「そうなのか?」


そうなんですか、と西原が山上を見たが山上は分からないと首を振るだけだった。だが、むつは分かると言って、久しぶりと人の形をした紙っぺらに話し掛けていた。そんなむつの姿を、山上と西原は不思議そうに見ていた。


「先輩、最近もこの子持ち歩いてたんだ?」


「あぁ…家だとちょろちょろするからな。持ち歩くようにしてる」


「ふぅん…あんまり悪戯しちゃダメよ?先輩だって、隠しておきたい物あるんだから」


「…ねぇよ」


「…本当に?」


「ない」


西原がきっぱりと言うと、むつはくすくすと笑い、西原の袖についた埃をぱたぱたと払い落とした。

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