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みなうちに
「…あいつら何しに来たんだ?」
「うーん…暇潰し?」
冬四郎が西原の頬を引っ張って笑っているのを見ながら、むつと山上は呆れていた。冬四郎も西原も、いい歳をしているというのに、じゃれあっているようにしか見えない。
「まぁいいか…」
「うん。ほっとこ…何か割り入ったらいけない気がする。お兄ちゃんは先輩の事好きだし」
「…みたいだな。みやも西原の事が好きだって言ってたからな…やっぱりあれか?兄妹で好みは似るのか?」
「…意味合い違うんじゃない?」
山上にとっては、そんな事はどうでもいいと言わんばかりに、肩をすくめて見せるだけだった。
「で、むつ…どうだ?何か気になる気配あったりしたか?」
「ううん…全然。社長こそどう?」
「…お前、俺を働かせたいのか?」
「うん。見てみたい…元刑事としてよろず屋の社長として…分かる人としてさ」
むつが屈託なく笑うと山上は、がりがりと頭をかいた。むつからそんな風に言われると、嫌とは言えない山上はどうしようかと悩んだ。冬四郎と西原の手前、それにむつの前でも、よろず屋として仕事らしい仕事はした事がなかったからだ。




