ちぇんじんぐ
「そうかい?なら…二千円で良いよ。このままで良いかい?」
「うん、このままで良い。はいっ」
むつは財布から金を出して、男に渡した。そして、その場で左の小指に指輪をはめた。
「良い買い物した‼大切にするね、ありがとーっ」
機嫌よさそうに礼を言い、むつは立ち上がった。来た道を戻ろうとすると、男は立ち上がった。
「お嬢ちゃんなら大丈夫だと思うけど…使い方には気を付けるんだよ。くれぐれも、ねぇ」
「ん?はーい」
むつは男に手を振って歩いていく。祐斗と颯介は、男に会釈をしてそのあとに続いた。
「使い方って何ですかね?」
「さぁ?古いから手入れを、かな?」
「それより、これ。俺が持ってるんですけど…どうするんですか?」
祐斗から渡された男用の指輪は、ガラスは嵌め込まれていないものの、蔓の細工は綺麗だった。
「祐斗したら?颯介さんじゃ小指にも入らないんじゃない?」
颯介はむつから指輪を受け取り、小指にはめようとしたが途中で止まっている。
「無理だね、祐斗君なら入る?」
たらい回しのように祐斗が手元に戻ってきた祐斗は、しぶしぶといった様子で小指に指輪をはめた。すっぽりと入った指輪は、指にフィットするように蠢いた気がした。
「お揃いだね」
「複雑っすね。むつさんとだなんて」




