みなうちに
「…何か飯とか誘ったら不都合か?やっぱり、あの…警視正との縁談が進んでたりするのか?」
むつが曖昧に頷くのを見逃しはしない西原が聞くと、むつは首を傾げた。西原の表情は、不自然なくらいに柔らかい。むつはしばらく、その顔を見ていたがむにっと頬をつまんだ。
「痛いぞ」
「嘘。強くしてないもん」
「…まぁ痛くはないけどな」
「うん、当たり前でしょ。縁談の事ね、それも話すから。いつなら空いてる?あ、おいなりさん作る約束もしてたっけ…」
「あ、あぁ…うちで作ってくれるんだろ?でも掃除してないや」
「掃除して」
「そしたら作りに来て「ダメだ」
2人の会話をじっと聞いていた山上が、有無を言わせずにきっぱりと言った。むつも西原も何も言わないが、西原の顔はあからさまに不服そうだった。
「ダメだ。うちのむつを不貞な輩の家に行かせるわけにはいかないからな」
「不貞な輩って…いいじゃないですか‼前にもむつは泊まってるんですよ?それにキスだってし「ばかーっ‼」」
西原が余計な事を言い出すと、むつが大声で遮った。何を言い出すんだと、むつが怒ると西原はあっという顔をして冬四郎を見た。冬四郎は、腕を組んでじろっと西原を睨んでいる。




