1255/1310
みなうちに
警官たちの人数が少し減った所で、開けっぱなしのドアからひょっこりと入ってきた男が居た。部外者だというのに、堂々と入ってきたからか警官に止められている。
「あっ‼お兄ちゃん」
むつが声をあげると、警官に止められていた男、むつの兄である宮前冬四郎は柔らかく微笑んだ。冬四郎は身分を明かして、警官を押し退けるとむつの側にやってきた。
「…最近、警察の世話になりすぎだ」
やんわりと言われたが、むつが何かをしたわけではない。冬四郎も勿論、それを分かっているからか、顔が少し笑っている。だが、むつから視線を外した時には真剣な顔つきとなっていた。そして山上に挨拶をして、何があったのかを聞き始めていた。
冬四郎がやってきた事で、残っていた警官たちの態度がやや変わったような気がしたむつは、どことなく勝ち誇ったような顔をしていた。そして、やはり冬四郎も凄いのかもしれないと思っていた。




