みなうちに
「み、見たか?」
「何にも。何?いたちでも居た?」
「ばっ…つまんねぇ駄洒落言ってる場合じゃねぇだろ‼今っ、今…小鬼が走っていったぞ‼」
「はぁ?お腹いっぱいで寝ながら歩いてた?てか、社長ってさあたしの前ではそういうの言ってくれるよね。本当は視えてくるくせに、颯介さんにも祐斗にも内緒にしちゃってさ。何で?お兄ちゃんたちも、その辺の事って知らないのよね?へんてこな会社してるくせにさ」
「まぁな…いや、そうじゃねぇよ‼そうじゃなくてだな。今、小鬼が走って行ったんだぞ?」
「ふーん?急いでたのかしらね」
「いや…逃げてるようだったけどな」
「何か強いのに出会ったのかしら?てか…小鬼視たからって、はしゃいでないで。ほら、帰るよ?」
そういった物は視慣れているむつは、何故かテンションの上がっている山上を置いていくかのように、すたすたと歩き始めていた。
「…そんなに小鬼が気になるの?」
「そりぁ…何か小さいのって可愛くねぇか?小型犬とか子犬とか可愛いだろ?」
「…子犬は可愛いと思うけど。あたしは小さいより大きい方がいい。小さいと何か怖い」
「扱い雑だもんな」
「うるさい」




