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よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
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みなうちに

どのくらい経っただろうか、むつは手を止めて顔を上げた。まだ半分も終わってはいないが、疲れてきたのかもしれない。休憩をしたいのか、山上の方を見ていた。山上はそんなむつの視線に気付いてか、手を止めると雑巾をむつの方に投げた。


「腹も減ったし休憩すっか。雑巾持っていけ、バケツは俺が持っていくから」


「うん‼」


むつは雑巾を持って先に出ていくと、キッチンでじゃぶじゃぶと洗い始めた。だが、雑巾を洗う水音以外にもばしっと水の音がすると、慌てて倉庫の方を見た。


「…社長?滑ったの?」


倉庫のドアの前では、山上が見事にうつ伏せに倒れてバケツの水をぶちまけていた。むつは洗った雑巾をぎゅっとしぼると、山上の元へ行って床に広がっている水を拭き取ってバケツの中でしぼってを繰り返した。


「大丈夫?起き上がれる?」


「あぁ…両足掴まれたぞ…痛かった」


山上はむつの手伝いはせずに、うつ伏せのまま頬杖をついている。顔から床にぶつかったのか、額が赤くなっているのが面白いようで、むつはくすくすと笑っていた。


「悪戯にしては度が過ぎるわね。社長じゃなかったら、大怪我しててもおかしくないし」


「そうだな…何なんだろうな?今までこんな事なかったぞ?そりゃあ、構えみたいな悪戯はあったにせよ…それも可愛いもんだったんだけどな」


「甘やかしすぎたかしら?」


「…まとめて供養出すか?」


「それは可哀想だよ…何か、あるのかも…あるならあるで、言ってくれたらいいのに…」


はぁと溜め息をついたむつは、床の水を拭き取り終えると、バケツを片付けに行った。

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