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あまいゆうわく
「…何で?珍しく失敗作っぽくないぞ」
「むつさんって昔からチョコ系のお菓子は苦手だったんですね。俺は焦げ臭いのしか、貰った事ないですけど」
「まぁな。俺もチョコなんて貰った記憶…最初のバレンタイン時だけだな。で、何でしょうか羨ましくないんだ?女の子からなら、嬉しくないか?」
「菜々さんの手作り貰えましたから」
さらっと祐斗が答えると、2つ目を口にしていた西原は、驚いた顔をした。そして、すぐに口を手で覆った。
「どうしたんですか?変なのでも入ってましたか?」
普通のチョコレートではなくなった物だから、何かあってもおかしくないと祐斗は真剣な表情を浮かべた。だが、西原は軽く手を振って苦笑いを浮かべた。
「…ビックリしすぎて、頬っぺたの内側噛んだ…いってぇ…菜々ちゃんからかぁ…出来映えは…って、気にしないか」
「美味しかったですよ。それに、少しでも会えましたし。話も出来たので…」
「成る程な。幸せいっぱいって感じか。止めろよ、ノロケなんて聞かないからな」
「言いませんよ。菜々さんと俺が知ってたらいいだけの事ですから」
「わー何か腹立つ」




