あまいゆうわく
「はい。だって、菜々さんからしたら俺なんてガキみたいなものじゃないですか。それに、むつさんの職場のアルバイト程度だと…」
「…あたしも同じ事思ってる。祐斗君からした、あたしはむつの友達でおまけみたいな物かなって。それに歳上すぎて、おばさんなんじゃないかなって」
「おばさんだなんて…あー…俺、どうしたらいいんですかね。胸を張って、菜々さんの隣を歩けるようになりたいんです」
「…でも、お互いまだはっきりした気持ちじゃないわね。特に、あたしがそうかな」
「分かってます。でも、今日は凄く進展があったなって思ってますよ。菜々さんの考えてる事が聞けましたから…それに…俺、甘い物大好きです」
祐斗がにっこりと笑うと、菜々もようやく笑みを浮かべた。この話をしている間、凄く緊張していたし、祐斗の言っている事が本当なのかと、いまでも疑う気持ちはある。だが、こんなにも晴々とした笑顔を見せられると、嘘ではない気がしてしまう。
「あー…良かった。菜々さんがもし義理で西原さんにあげるとかって言ったら、西原さんとの付き合い方考えなきゃって思ってたんですよ」
「先輩に?ないない。祐斗君に渡せなかったら、むつが貰ってくれるって言ってたけど…」
「いや、むつさんにも渡さないでください。あ、でも…むつさんならいいかな。だって、菜々さんはむつさん好きですよね?」
「うん…大事な親友」
菜々がそう言うと、祐斗はうんっと頷いた。そして、ほんの少しだけ菜々に近付くようにして座り直した。




