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あまいゆうわく
「え…あっ‼菜々さん!!」
むつとこさめの声に、祐斗は驚いた。だが、それよりも目の前に菜々が居た事にはもっと驚いた。
「祐斗君…」
下着姿の菜々を見て、祐斗は顔をすぐに背けた。だが、菜々に近付くと持っていた上着を肩にかけた。上着の上から、菜々の肩に手を置いている祐斗は、顔を真っ赤にしている。
「あの…怪我とかありませんか?」
「うん…大丈夫」
「良かった…」
顔は真っ赤にしているが、祐斗は安心したような様子を見せている。祐斗は少し視線をさ迷わせていたが、やがて菜々を見た。
「本当に良かった…菜々さんが無事で本当に…」
祐斗は恥ずかしそうにそう言っただけで、後は黙ってしまった。菜々も何と言ったらいいのか分からず、きょろきょろと視線をさ迷わせていた。




