表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-その日常-  作者: 幹藤 あさ
1207/1310

あまいゆうわく

歯をくいしばった祐斗が、何度も何度も壁を叩いているのを、菜々はすぐ目の前で見ていた。祐斗がぶつぶつと言っていた言葉も、しっかりと聞こえていた。だが、それでも菜々は不安ばかりを抱えていた。


こんな風に祐斗が、懸命になってくれるのは、自分がむつの友達だからではないだろうか。祐斗は菜々を、ではなくむつを助ける為のついで、自分はおまけなのではないかと。菜々はそう思っていた。


「…菜々さんにこんなかっこ悪い所は見られたくないな。むつさん…うーん、無理だ…誰だろ…あ、京井さんならもっとスマートに出来るんだろうな…弟子入りしようかなぁ…菜々さんと話がしたいのに…折角会えるなら、むつさんに頼んで菜々さんと2人にして貰いたいな」


言っているのは本心なのだろうか、祐斗は歯をくいしばり、しつこいくらいに壁を叩いている。何度も叩いているからか、寒いというのに額にはうっすらと汗が浮かんでいる。


菜々は目の前の祐斗から聞かされている言葉を、ゆっくりと反芻させていた。祐斗の本音が聞けた菜々は、ぺたっと壁に触れた。そして、祐斗がしているようにばしばしと壁を叩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ